開発会社は、開発功績を正当に評価するよう常に求めてきた。
正当な評価とは、ロイヤルティー(印税)や、各マイルストーン終了時に支払われる報酬のことだけを言っているのではない。
今年の開発会社トップ100から何が読み取れるのか、Michael Frenchがチェックする。
2005年の小売売り上げを巡っては、ほとんどがパブリッシャーの失速予想と
不安定なソフトウェアマーケットに関する話題に集中していた。
過去3ヶ月の間、売り上げ低下や予想変更、見込み不達成があったことについて、機種切り替え、予算問題、
次世代機などの流行語が原因として挙げられてきた。
しかし、今年の開発会社トップ100を見ると、これとは少し異なった見解が見えてくるのである。
新しいフォーマットへの移行期間であることは間違いないし、消費者が新しい携帯機種や家庭用機種を購入し、
機種を切り替えるなり、機種の種類を増やすなり、再びPC上でゲームするなりするまで
待たなければならないということは否定できない。
しかし、開発会社トップ100のリストを見ると、パブリッシャーが不機嫌な顔をしている一方で、
開発会社は歓声を上げていることが分かるのである。
もし我々がELSPA(ヨーロッパのゲーム業界団体)のChartTrackサイトのデータ数字を直接参考にして
リストを作成していたとしたら、 開発会社の状況がこれほどバラ色に見えることは決してない。
小売売り上げの全体的な収益は少し上がり、新しいコンセプトの発表という観点から見れば市場の動きはかなり活発であった。
もちろん、金を持っている会社がますます金持ちになってきた例もあるが、過去5年間の厳しい日々の後、
景気が回復し始めたという雰囲気が漂う会社もある。
最悪の場合売り上げが上がらないとしても、少なくともゲームの創造性は高まるのではないかという雰囲気を感じることができる。
しかしながら、リストをもっと掘り下げていく前に、言っておきたいことが数点ある。
我々は、2005年におけるイギリスのゲーム部門の収益を基にリストを算定した。確かに、イギリスは世界の全てではない。
このため、このランキングが完璧ではないことは我々も承知しているのだが、地球上のほとんど全ての格付けシステムは
完璧ではないということを考慮してもらいたい。
しかし、イギリスという国は、基準として用いるのにうってつけの国なのである。
たびたび言われてきたように、イギリスの優れた開発会社が好調であることや、
今日我々が享受している産業の発祥国がイギリスであるということは事実である。
しかしこのような事実は、イギリスの消費者の多くが、納得させるのが困難なうえに
気まぐれであるという事実を考えたとき、全く重要ではない。
イギリスの消費者の嗜好には本当に様々なものが入り混じっている。
ブランド名で判断したり、よく知っているからという理由で購入を決定するかと思えば、
同時に最新の流行に流されることもあるし、彼らの目を引くことに成功すれば目新しいものにも喜んで手をつける。
彼らは、新しいアイデアに寛大で、正しくゲームの価値を見極め、できの悪いゲームには簡単に失望する。
イギリスの消費者を攻略するのは困難なのである。
また、イギリスのゲーム市場は世界第3位であるので、ゲーム後進国の数字を基にしてトップ100を決めているわけではないのである。
そして、これまた大きなゲーム市場であるアメリカと日本をイギリスと比べたとき、
この二国の文化的偏向がイギリスより顕著であること、またブランド名に左右される傾向が強いことを考慮したとき、
イギリス市場ほど貴社の成果を判断するのにふさわしい市場はないと我々は考えるのである。
このことを念頭に、以下に続く100ページ分の開発会社のプロフィールを通して、いろいろな意味で
人々がゲームに関して抱いてきた従来の思想、つまり開発や販売の方法についての考え方を覆すことができれば幸いである。
まず最初に、質のよいゲームでなければ売れないということは明らかだ。
我々が作成したトップ100のリストと、パブリッシャーのプロデューサーやセールス・ディレクターが
大好きな評価得点総計サイトのデータを比べてみてほしい。
我々のリストで上位にランクしている開発会社が、全ての面で高評価を獲得したゲームを
多数開発していることがお分かりいただけると思う。
実際、このリストに載っているほとんど全てのチームは、2005年に、
もしくはその前後数ヶ月間に本当にすばらしいゲームを開発している。
そして、広大なアメリカ市場の評価サイトを見ても、そこで高評価を獲得したゲームの開発会社がリストの上位を占めていることを
考えれば、この開発会社トップ100のリストが信頼できるものであるということを疑うことはできない。
(もっとも、アメリカ市場ではサイトで発表される個人個人の評価や意見を重要視しすぎ、
サイト評価の結果次第でプロジェクトがキャンセルされたり販売予定が変更されたりするなどの問題もあるのだが。)
今年の2位、Pandemicを見てほしい。
2005年に開発したゲーム全てが、評価サイトMetacritic.comで80パーセント以上の評価を得ている。
ニンテンドウも見てほしい。今年トップ10内に入ったこの会社はこれまで必ず批評家たちを喜ばせてきたが、
ニンテンドウDSとそのソフトが批評的にも商業的にも好調だったことが幸運だったと言える。
コナミ、London Studios、Rockstar Leedsでも同じことが言える。
まだまだ例を挙げられるが、それについては次ページ以降のランキングを見てほしい。
パブリッシャーは収益に関して不平を言うかもしれないが、このリストでは開発会社名のすぐ隣に
その会社の作品が生み出した収益を載せた。
これも喜ばしいことだ。会社名の隣に収益額を載せたのは、トップ100に入った会社の大部分が独立会社であり、
多くのパブリッシャーと一緒に作品をつくっているという状況を踏まえ、各社の努力の成果を認めるためであって、
ただ単に各社の売り上げへの影響を知らせるためだけではない。
しかし、表面下で絶えず発生している問題がある。
それは、こういった独立会社に関係する問題であるうえに、今年のトップ100に入らなかった会社や、
もっと上位に入ると予想されていた会社にも関係する問題である。
それはつまり、新しいゲーム開発法を導入している会社があるということだ。
外部委託、共同開発、請負業務などという新しい形態が導入された結果、
他の会社よりも大きな影響を受けるはめになる会社があるのだ。
こういった形態はちょっとした問題を引き起こす。
特に、共同開発契約を結んだ場合や、契約キャンセルや業績悪化のために未完成のまま残されたゲームを完成させるため、
とある開発会社が介入した場合、このチームはこっそりと仕事をこなすように命じられるのだ。
そのため、金は支払われても、会社の功績は認められない。
過去、ELSPA のChartTrack売り上げ報告には開発スタジオの功績は記載されなかった。
しかし、これを記載するように要求し続けてきた結果、わずか数年でその成果が実り、
現在では開発会社の名前も記載されるようになった。
そのため、開発を手掛けたにもかかわらずここに名前が載らなかった会社の失望は想像がつく。
(もっと詳しく説明すると、開発の大部分を手がけた場合はChartTrackもその会社の名前を載せるが、
少ししか手掛けていない場合は名前は記載されないのだ。)
このトップ100のリストの中にも、その成功の一部分を他会社の専門的な援助に負っているゲームが数作あるに違いない。
しかし、そのことがはっきりとは語られることはない。こういう作品の非開示契約の「非開示」という部分を考慮すれば、
そのようなゲーム作品が正確にはどのぐらいあるのか、またそれは相当な数なのか、ということを知ることはおそらくできないだろう。
外部委託などの方法でゲームを開発しても大きな収益を上げることができる一方、
一社で一本のゲーム全てを開発した場合でも多くの収益を上げることができる。
トップ100のリストには、単独で開発を行っている会社が多くランキングしているので、このことが証明されていると思う。
その例として、新しいIPを見てみることにしよう。
2005年、消費者に喜んで消費され、その開発会社をリストに載せることになったゲームだ。
Pursuit Force、Nintendogs、Mercenaries、Buzz!、Gun、God of War、Destroy All Humans!、Jade Empire、Gametrack-Real
World Golf、Area 51、Spartan : Total Warrior、Forza Motorsport、The Movies、Juiced、Kameoなどである。
こういったゲームで中心となる主要なシステムはごくありふれたものだが、馴染み深いレーシング、バーチャルペット、
パーティーゲーム、オープンワールド、アクション・アドベンチャーをなんとかして新しくしようと
試みる行為は、それ自体称賛に値する。
加えて、このリストを見れば、質を最重視する消費者たちの間で最も悲観的に捉えられてしまう作品、版権作品を取り扱ったとしても、開発会社はこれを新しくすることができ、同時に消費者を楽しませることができるということが分かる。
Lego Star Wars、Star Wars BattlefrontU、King Kong、Narnia、Wallace &Gromit、The Warriors、WWE Smackdown vs Rawなどが、
多額の利益を上げた人気タイトルだ。
上記のゲームの大部分が異なるスタジオで開発されているという事実をふまえると、開発をとりまく状況は、
過去長い間これほど好調であったことはないと言っていいほど好調であることは間違いないのである。


